October 18, 2017

映画藁の楯

公開当時結構話題になっていた気がする映画「藁の楯」。地上波で放送されていたのでAT950Wで録画し、PSVitaにおでかけ転送して鑑賞しました。

今回実際に観るまであの「ビー・バップ・ハイスクールのきうちかずひろが本名の木内一裕として2004年に書いた同名の小説が原作になっていることは全く知らなかったんですけどね(^_^;)

あらすじは・・・

元経団連会長で政財界の有力者ながら、既に死期が迫っている蜷川隆興の7歳の孫娘が無残に殺害された。
犯人と思しき清丸国秀に対し、蜷川は「この男を殺してください。御礼に10億円差し上げます。」と本来なら発行しえない新聞広告を打って懸賞金を懸ける。
福岡に潜伏していた清丸国秀は仲間にも殺されかけたことで警察に自首。警視庁は清丸の身柄を東京に護送すべく、銘苅一基（大沢たかお）、白岩篤子（松嶋菜々子）などのSPをはじめとした5人の精鋭を護衛に付けるが、10億円に目がくらんだ一般市民や警察内部の人間が次々と襲いかかる・・・

という感じ。

やや荒唐無稽な設定だなとも思えますが、映画なのでこの位はアリでしょうと思い期待しながら鑑賞しました。

ここからはネタバレありの感想を少々。

正直、序盤から中盤まではかなり面白く観られたんですよね。

タンクローリーが突っ込んでくるシーンは派手でインパクトがありましたし、新幹線での銃撃戦も引き込まれました。ストーリー面でも居場所がキヨマルサイトで常に公開されているという緊迫感と誰が敵で誰を信じていいのか分からないという疑心暗鬼を煽る展開はなかなかのものだったかと。
場面が護送車の中や新幹線の中など、刻々と移り変わって行きながら基本的に閉鎖空間だったのもパニックムービー好きの‘み’にはミートしましたし。

ただ・・・

終盤に向けてどうも違和感が。

「クズを守る」ことが正しいのか否かという大命題やその逡巡については違和感がありませんし、特に銘苅が飲酒運転のドライバーに妊娠中の妻を轢き殺されたというバックボーンを含め、人が人を罰することの意味や意義、正義とは・・・？のような大きなテーマ性があるなとは感じていたものの、‘み’の中で映画に求めているある程度のリアリティというか説得力を軽く超えて行ってしまったような感があるんですよね。

要は「それはないだろう」と思しきツッコミ所で現実に引き戻されてしまったような感じでしょうか。

主要キャラが少しずつ殺されていく中でも、最初にあれっと思ったのが神箸正樹の殉職シーン。ちょっと突っ張っていたというかけんか腰ですらあった神箸が新幹線の中での銃撃戦で母を思いながら目を閉じるんですが、防弾チョッキは着てなかったのかなと。銘苅が護送車の中で撃たれた時には防弾チョッキに（僅かの差で）命を救われていたんですが・・・　神箸はSPではないからってことなんでしょうか？
防弾チョッキは白岩篤子も着ていなかったようで・・・しかも白岩は清丸に軽く逃げられそうになったり銃を奪われたりする有様。シングルマザーだから出世できないけど成績はピカイチ的なキャラだったと思いますが、そんなSPが簡単に護衛している対象者に撃たれて死ぬかなと・・・

奥村武もマイクロチップを埋め込んでいたのはまあ良しとして、その気持ちにもまあ有りうるのかなと思いながらも・・・　シャツを脱いだら簡単にばれる様な腕に傷跡を残しますかね・・・？

クライマックスの銘苅vs蜷川のシーンも違和感満点。10億円欲しさに警察内部からも狙われる状態だった上にこの段階では射殺命令も出ていたはずなので、あの状態なら機動隊員や警察官僚も含めて誰にでも10億円のチャンスがあったはず。ここだけ統率がとれているというのも違和感がありますし、銘苅のちょっと待ったコールだけでタイマンに入るのもなぁ・・・　　

今思えば本来の映画の尺が125分で地上波の枠が2時間弱だったのでそこそこしっかりカットされている部分があるハズ。ノーカットだったら印象も違ったかも知れませんし、原作ではもっと色々妙な部分がクリアになっていたりするのかも知れません。正直原作を読んでみたいとまでは思いませんが、序盤～中盤の緊張感が良かっただけにちょっと勿体ないなと思ってしまいました。